スペインの伝統、世界三大酒精強化ワインの一つ「シェリー酒」

スペインワイン雑学

スペインの伝統的な酒精強化ワイン「シェリー酒」スペインのアンダルシア地方、特にイベリア半島の最南端にあるヘレス・デ・ラ・フロンテラの街を中心に周辺地域で作られています。生まれたシェリー酒は、その独自の風味と歴史的な背景から、ワインの世界で特別な存在です。今回はそんなスペインの宝石、シェリー酒について書いていこうと思います。

シェリー酒の歴史と起源

シェリー酒の歴史は古く、フェニキア人やローマ帝国時代にまで遡りますが、現代のシェリー酒の基礎を築いたのはアンダルシア地方での中世のモスクとキリスト教徒の共存でした。この地域で栽培されていたパルメート、モスカテル、およびアレクサンドリアのブドウが、シェリー酒の原料となりました。
シェリー酒(Sherry)の正式名称は”ヘレス-ケレス-シェリー・イ・マンサリーリャ-サンルーカル・デ・パラメーダ”と途方もない名前です。711年から1264年までこの地域を支配していたアラブ人たちがこの土地につけた名前”シェリカ”を英語読みするとsherryになり、スペイン語でヘレス、フランス語でケレスと言います。全部合わせたものが正式名称なんですね。

シェリー酒の製法とスタイル

シェリー酒は、酸性の発酵後、酸性酸で熟成される特別な製法を持っています。以下がシェリー酒の製造手順です。

  1. 白ワインを造り、ブランデーを添加し酒精強化する
  2. 法定最低熟成期間は2年(伝統的には3年)で、アメリカンオーク樽を使い、異なる熟成段階のシェリー酒を木樽に重ねて熟成させ、年を経るごとに最も古い酒を新しい酒で補充する”ソレラ・システム”で、ワインの品質の均一化と熟成を同時に行う
  3. 産膜酵母によって形成される膜”フロール”とともに熟成させる場合、フロールからの特有の香りがワインにつく

またシェリー酒は、フィノタイプ(フロールが付いたタイプ)、オロロソタイプ(フロールが付かないタイプ)、中間タイプ、極甘口タイプ、甘口タイプの5つに別れています。スペインと日本では辛口タイプの消費量が圧倒的に多いですが、その他の国では甘口タイプが主流です。

風味とペアリング

シェリー酒の風味は多様で、フィノはナッツや青リンゴの風味を持ち、アモンティリャードはキャラメルや焦がし糖の風味があります。オロロソはクリーム状で風味はバニラやドライフルーツです。これらの風味は、シェリー酒を多彩な食事に合わせるのに最適で、タパスからデザートまで幅広い料理との相性が良いことで知られています。また食前酒として提供されることも多いです。

まとめ

どうでしたでしょうか。シェリー酒はスペインのワイン文化の重要な一部であり、その豊かな風味と複雑性から、多くのワイン好きに愛されています。シェリー酒の製法、歴史、風味を知ることは、ワインライフに新たな発見がであり、その魅力に引き込まれるはずです。特別な機会や食事の際に、一度シェリー酒を楽しんでみてはいかがでしょうか。

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました